「コメ食のインフラ企業」を目指して新たなステージに向けた挑戦をスタートします。
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代表取締役社長 |
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鎌田 慶彦 |
令和6年産米の需給がひっ迫した、いわゆる「令和の米騒動」の影響が続くなか、当社グループはお取引先への安定供給を最優先に、調達・仕入・精米・物流の各プロセスにおける最適化に努めました。また、原料仕入価格の変動については、お取引先への丁寧な説明と真摯な協議を重ね、販売価格への適時・適切な反映に努めました。加えて、政府備蓄米についてグループをあげて最速の出荷に取り組んだことや、ミニマム・アクセス米(MA米)の取扱数量の増加等により、4期連続の最高益を更新し、前中期経営計画(2023年〜2025年)の目標数値を達成しました。これらの成果は社員一人ひとりの努力と、お取引先など全てのステークホルダーの皆さまのおかげと感謝しています。
「コメビジネスの拡大」においては、米穀事業とコメ加工食品事業の統合による営業力強化、多収・高温耐性品種の導入推進による仕入基盤強化に加え、無洗米加工方式「UMBP(ウルトラマイクロバブルプロセス)」設備の導入など、環境配慮型商品のブランディングで一定の成果を挙げることができました。一方で、昨今の国際情勢もあり海外マーケット開拓には課題も残っています。
「コメ関連ビジネスの成長」では、“事業領域の拡大”をテーマに米穀・飼料・鶏卵の各事業間、国内・海外事業間で情報共有してマーケット拡大に取り組み、鶏卵事業の伸長、海外ビジネスの規模拡大という成果を挙げています。さらには新規事業として循環型ビジネスを推進する取り組みも始まっています。新中期経営計画(2026年〜2028年)ではこれらの取り組みを継続し、米穀事業への依存度を減らすべく、飼料事業・鶏卵事業の持続的な成長、新商品・新規事業の推進を図ります。
また、「企業の成長の土台作り」として、業務効率化や人的資本経営の強化に取り組みました。これは引き続き重要テーマであり、特に各事業の成長を担う中核人材の採用・育成が今後の課題です。
「令和の米騒動」を契機に、米穀業界は転換期にあります。これまでコメは “薄利多売”の側面があったことは否めません。しかし当社グループが持続的に成長するには、環境に左右されにくい安定的な収益構造による営業利益率2%台の維持のため、事業ポートフォリオを進化させる必要があります。この度、当社のありたい姿として、国内米穀仕入れシェアを拡大しつつ、米穀事業以外の飼料事業、鶏卵事業、新規事業を成長させ安定した収益基盤を持つ、「米穀卸からコメ食のインフラ企業へ」の「ステージチェンジ」を果たすことを長期ビジョンに設定しました。新中期経営計画の3カ年はその実現のための重要な「ステップアップ」期間と位置付けています。
まず「調達力の確保」では、社会的使命であるコメの安定調達・安定供給を実現するとともに、安定した収益確保のために価格交渉力の向上を図ります。その一環として国内米穀仕入れにおける当社のシェアを引き上げるため、コメ取扱量の拡大を目指します。これには「調達力の確保」が必須であり、従来の調達先との関係強化に加えて新たな調達先の開拓に取り組んでいます。当社から「にじのきらめき」など多収・高温耐性品種の種子を生産者やJA等に提供して収穫されたお米を買い取る仕組みや、JA等との共同出資で生産法人を設立するなど、当社独自の調達の仕組みづくりを加速化します。また仕入れ・物流機能の強化に向けた中小米卸のM&Aや、省力化によるコスト削減に向けた次世代工場の建設、他社との協業による日本精米センター(株)設立など、成長投資を積極的に進めます。
海外市場では、ベトナム・中国・タイの現地法人を活用し、無洗米加工方式「UMBP」を強みに、輸出・現地販売の双方を拡大します。加えて国内ニーズの多様化に即して北米・アジアからの輸入米の拡充にも取り組みます。
「コメの消費拡大」では、国産ブレンド米への関心が高まるなか顧客ニーズに合う商品づくりで、自社ブランド(NB)の拡充を軸にマーケティング機能を強化します。同時にコメの健康価値について科学的エビデンスに基づく啓蒙活動を展開し、当社商品の付加価値向上に取り組みます。また、子ども食堂・学校給食への支援も継続します。こうしたコメの消費拡大のための取り組みが、日本のコメ文化・食文化を守ることにつながると考えています。
「コメ関連事業の規模拡大」では、飼料事業・鶏卵事業の取扱量拡大を目指します。飼料事業では同業他社のM&Aに加えて、鶏糞などの新規取扱いアイテムの追加、ペットフード市場への参入などにより規模拡大を図ります。鶏卵事業は米穀事業との連携によって営業活動を東日本から西日本エリアに広げつつ、M&Aによる生産・販売機能の強化を図ります。また、当社は「UMBP」製法による洗米副生水を液肥や養殖用飼料として商品化する循環型ビジネスを確立すべく、実証研究を進行中で、これら新規事業への取り組みを加速すべく、2026年1月には開発事業部を新設しています。
新中期経営計画では、人的資本、DX推進、サステナビリティを経営基盤強化の柱としています。なかでも「人」は最も重要な経営資源であり、M&Aやマーケティングなど専門人材の採用・育成や、挑戦を後押しする組織づくりに引き続き注力してまいります。
株主の皆さまに対しては、成長投資と財務健全性のバランスを踏まえつつ、連結ベースのDOE(株主資本配当率)2%以上を目安として中長期的な企業価値の向上と株主還元の充実に努めてまいります。
私は社長就任以来、社員一人ひとりの参加意識を高めることを心掛けてきました。今回の新中期経営計画も単純なトップダウンではなく社員とともに策定し実行する計画です。そして食が多様化した今日において、業界内での競争だけではなくコメ自体の魅力を訴求していかなければ、持続的な成長は果たせません。そのために役職員一丸となって長期ビジョンである「コメ食のインフラ企業」への進化に邁進いたします。皆さまには今後とも変わらぬご支援を賜りますよう、お願い申し上げます。
2026年3月
